コロナの影響で街中に画像を撮影して体温を表示する装置を見かけるようになりました。この中で画像の顔を認識しているものがあります。顔を認識するために利用されているのがAI(Artificial Intelligence)なります。末端のAIが搭載それているものをエッジAI(Edge)と言います。以前はビッグデータをクラウドでAIを使って分析するのが主でしたがクラウドや通信回線に負荷がかかりすぎる、つまりコストが高くなるため特定のAIは端末に任せて負荷分散させることでコストを下げて即時性も良くなるメリットがあります。顔の写真をクラウドに送るより、顔を認識した結果の特徴データをクラウドに送るだけなら回線負荷もかかりませんし、クラウドも特徴データから個人データを検索してマッチングするのも楽になります。なにも中国の話ではなく日本の警察は国内にある監視カメラの画像から特定の人物を追跡する事ができるようになっています。これを担うのが警視庁に設置されている捜査支援分析センタ(SSBC: Sousa Sien Bunseki Center)は犯罪者の追跡に実績を上げている心強いシステムです。
監視カメラやIoTで利用されるCPU(Central Processing Unit)はノートパソコンより非力でMCU(Micro Controller Unit)と呼ばれています。名の通り何でもこなすよりは特定の処理を制御する事に向いているいます。最近のMCUにはGPU(Graphics Processing Unit)機能が搭載され画像を高速に処理できるようになったこともありAIが載るようになりました。私か開発した画像処理AIの一例としてOpenCV(Open Source Computer Vision Library)がよく利用されています。オープンソースのソフトウェアでソースコードが公開されており何をしているか確認も可能ですし、だれでも自由に利用する事ができます。このソフトには人の顔を認識して画像を切り出し、学習済みの顔認識モデルを使って顔の特徴を抽出する機能があります。あらかじめ個人が判明している特徴データとマッチングさせると誰が映っているのか特定できるようになります。学習済の顔認識モデルと書いた部分だけでも善し悪しがありますし、最後の特徴マッチングも結果に影響します。シビアにするとマッチング出来なくなります。例えば家のカギに顔認識を利用した時に自分の顔が認識されない事があっては悲しくなりまし、曖昧過ぎて似た人で空いてしまっても困ります。また、写真は否定するために横を向かせるとかシステム設計も影響します。AIって意外と泥臭く作るための量力も必要ですし、最終的にまとめる人のシステム設計能力次第だという事がわかって頂けたかと。AIは決して簡単ではないという事です。
画像処理の延長には自動車の自動運転もIoTです。原理は同じでより多くの障害物を検知し距離を計測して回避するか停止するかを制御しています。2008年のスバルのアイサイトは初歩的な物でしたが渋滞で眠くなった時に追突せずに済むようになりました。それから急速に発展してレベル2は一般化してきています。このレベル2までがドライバー主体で自動運転はあくまでも人の運転のアシスト運転です。そして2021年にホンダがレベル3対応の自動運転と言えるシステム主体の装置を搭載して市販しましたが100台限定1,100万円の限定車となりました。ホンダでは情報収集も兼ねているのではないでしょうか。自動運転が有名なテスラもレベル2止まりでレベル3は本田のみ、いかにシステム主体の装置が難しいのかを物語っています。レベル3になると運転中にスマホを操作して見ていても違反にならないそうです。
比較の話として、車は人より速く走れますが人より賢いとは思う人はいないでしょう。手段が違うからと言われるかと思いますがコンピュータも高速で計算し、しかも何百ものコア(GPUの小さなMCU)を使って並列処理をしているので、それらしい答えを探索するのが速いだけです。それらしい答えを探索する方法は人がロジックとして考えだしたもので100%の答えではなく用意された答えの中から最適な物を選んでいるだけですので過度な信頼はしないことです。
人の考え方は機械の実装にも影響します。飛行機は一番自動運転の歴史が長いのですが自動で離陸できる装置は積んでいても人が操縦して離陸しています。また、自動操縦の装置も人の操縦と機械とどちらを信頼するの問題があります。ボーイングは人を優先し自動操縦であっても人が操作したようにレバーなどが動きますが、エアバスは機械優先でレバーは動かず計器で確認できるのみです。このようにかは作る人の思いが入ります。こが自動車ならハンドルが動いているかいないかの差にもなります。個人的にはハンドルは動いて欲しいものです。
何もない所に急にAIが役立ったという夢はまだ当分先の夢になりますがAIの実績が積み重なり技術のブレークスルーがあれば急速に発達して実現する事もあります。夢が夢で終わらず実現する事を信じています。