IoTの単語が登場してすでに10程経過しました。最初のIoTブーム?も去りガートナーが出している「日本における未来志向型インフラ・テクノロジーのハイプサイクル:2022年」を見るとIoTは幻滅期になって底の状態に来ていますが、ブームが去って本当に必要な所に入っていくのだろうと考えられます。
では実際に何が過度な期待でそして幻滅したのか策ってみます。
IoTの初期の段階からドイツ政府はインダストリー4.0(Industry 4.0)策定して進めています。これに対抗するかのように2012年からGE(米ゼネラル・エレクトリック:General Electric)は製造業からサービス業に転換するGEの「インダストリアル・インターネット」とぶち上げていました。その中身がまさにIoTでした。なにもGEがソフト屋さんになるわけではなくGEが製造販売した機械に取り付けたセンサーからのデータをネットワーク経由でクラウドに集積し、集積した膨大なビッグデータを分析し故障予測やより効率の良い使い方などのノウハウなどを顧客へのサービスとして活かす基本思想だった。聞けばすごそうだし、確かにインダストリー4.0の言葉と相まってIoTは取り組まなければならない仕事のようになっていきましたが、2019年には大幅な赤字となり、会社全体を航空機エンジンと医療機器、電力の3事業に分割すると発表しました。今後も分社化が進む計画が発表されています。まるで日本の大手総合電機メーカーと同じような状況に陥ってしまいました。
GEとお客さんの思いがズレといたのが最大の原因かもしれません。最大の問題がIoTを実現するためにICTに莫大なの費用が掛かりそれを商品に転嫁するため顧客側に価格に見合うメリットが見えなかった、GE製とは顧客に納品した装置の稼働や摩耗なの細かな情報は顧客からすれば生産状況に直結する秘密事項で他社に知られたいものではなかった。GE社内でもIoTのシステムと既存システムの開発が別の部隊だったため連携が取れず社内で連携できないものは社外への展開もままならなくなってきた。IoTを入れたからと言って今すぐ生産性が上がるわけでもなくデータの蓄積には時間がかかりますし、それを解析して役立つようになるにはさらに時間が必要です。成果を急ぎ過ぎたのでしょう。
モノ作りで言えば2001年にiPod、2005年にiPod nanoは低価格で爆発的なヒットを記録し音楽プレーヤーとしては不動の地位を手に入れます。2005年にモトローラと共同開発したMotorola ROKR E1は音楽が聴ける携帯となっていたがデザインはモトローラが行っていたのでいかにも携帯電話でした。2007年にiPodの流れを汲んだデザインでiPhoneが登場してすぐに人気になります。当時日本の携帯は音楽を聴くこともままならずインターネット接続も小さな画面で簡易な能力しかなく有料コンテンツビジネスがはびこりユーザからあまり喜ばれていたとは言い難い所に、今のスマホと同等のiPhoneが乱入したので一気にユーザをもっていかれます。独占販売したソフトバンクにとっては金の卵になりました。
GEとアップルはどちらも機械を製造しお客さんかの利用状況など収集しているのに結果は雲泥の差です。よく言われるのがiPhoneを作る技術は2004年に可能で試作も作られていたが急な変化はユーザが喜ばれ無いと段階的に技術革新をリリースしたと言われています。歴史にifは無いのでわかりませんが、GEも急激な変化ではなくユーザに判り易いIoTを段階的に提供できていたら思います。アップルは最近情報を抜かれたくない人オプションを用意しているようですがそれまで取り放題だったわけでお客に余計な事は言わないもありなのでしょうか。
IoTで顧客に負担を掛けないという意味では電気メーターやガスメータの検診はリモート化が進んでいます。リモート検針するために通信機能とセンサーが入った電気メーターに交換して、もお客さんには負担がかかりません。知らない間にIoT化が進んでいます。
この機能は2分毎に使用電力をモニタリングしており生活状況が垣間見れますが誰も文句を言う人はいません。まだユーザの理解が得られない時はIoTが負担にならない程度にすることが重要なようです。 日本政府も2016年の科学技術基本計画にSociety 5.0を策定しこの中にIoTも含まれていますし、産業界ではIoTからどう運用するかのOT(Operational Technology)に主軸が移ってきました。ITとOTでIIOTと言われる事もあります。用語が溢れすぎるのはこの業界の特色のようです。