IT、ICT、IoTについて事業経営者向けに歴史から現在までを解説します。コンピュータは銀行の中央センターにあるような巨体な物や世界最速の処理能力を持つ富岳から皆さんがお使いのノートパソコンなどコンピュータはさまざまな所で利用されています。このコンピュータを使ってデータを情報として蓄積加工しているのがホワイトカラーの方たちです。これがIT(アイティ)でInformation Technology:情報処理技術と言われてきました。この業界で最初に通信を使ったのは為替データを銀行から全銀のコンピュータに送っていたのがテレックスで通信速度は50bps(ビーピーエス: bits per second:1秒間にオンオフを送る速度)かなり遅いのですが、今でも身近なものでGPS(Global Positioning System:位置情報システム)の信号も50bpsです。
1988年頃NTTはデジタル回線であるISDN(Integrated Services Digital Network)をリリースしますが、とても高価で一般企業では利用できず金融機関などで利用されていました。INS64サービスを当時開発した無人融資受付装置で利用し、利用者の顔写真、手続きの書類の伝送、会話を実現しました。INDNの64は通信速度の64kbps=64,000bosでアナログモデムの約6倍に速度が向上して写真が送れるようになります。Windows95が発売されてインターネットが身近になり通信部分が注目されます。当時の通信と言えばアナログでモデムを使い一般的な企業は9,600bps程度で接続していました。2001年には頃になるとYahoo!BBがADSL(エーディーエスエル、Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)モデムを配ったことで一気にインターネットの不況が加速します通信速度も1Mbps(メガビーピーエス)=1,000,000bpsと速度が向上し動画も見れるようになりました。現在の光回線は2Gbps(ギガメガビーピーエス)=2,000,000,000bpsですから最初のインターネットへの接続速度9,600bpsの20万倍の速度です。2020年から提供されているフレッツ 光クロスは10Gbps接続だそうです。有線の世界では速度を追究して速くなってました。
無線通信は2001年にサービスを開始したdocomoのFoma回線でiモードが9,600bpsでのサービス提供開始、後の3G回線ででも384kbpsのサービスでした。2010年に4G回線になると50Mbps~1Gbpsと一気に速度が上がります。これを受けてモバイルルータが普及し街カフェでノートパソコンを広げる風景が増えました。この頃から一般的にICT(Information and Communication Technologies:情報通信技術)が使われるようになっていきます。文字通りコンピュータがいつでもどこでもネットワークに接続できるようになったからです。現在は5Gが開始されさらに速度が速まり10Gbps~20Gbpsと有線に比べて遜色のない速度に達します。速度を追いかけると利用料金もそれなりに高くなかなか安くなりません。
携帯電話以外の通信と言えば省電力のBluetoothや近距離高速通信のWiFiですが近距離しか飛ばないので携帯の代わりに利用するという考えは出てきませんでしたが2009年ごろから携帯電話より安いサービスを提供しようとする動きが出てきます。
電波をより遠くに飛ばすには低い周波数帯が有利です、以前ソフトバンクがプラチナバンドと盛んに言っていたのも700MHz(メガヘルツ)から900MHz帯の事でそれ以前の2.1GHz(ギガヘルツ)や1.5GHzより遠くまで電波が到達し、高層ビルや山間部でも電波が繋がりやすい性質がありました。国際的にも900Mz周辺を利用する動きがあり日本でもそれに対応し、2012年に920MHz帯をテレメータ(telemeter)用に割り当てられました。テレメータとは遠隔観測データを定期的に送る装置の事で代表的な物に気象観測用のアメダス(Automated Meteorological Data Acquisition System)があります。ごは無人で気象観測し電話回線や無線通信を使って自動的に観測データを送るようになっています。1974年の運用開始から現在は全国1,300地点に設置されています。通信回線には携帯通信網も使われており先日のauの障害発生時も半数でデータ途絶が発生していました。回線の多重化ではなく半分auで半分は別にすることでシステム全体の停止を防いでいたと思われます。
話が脱線しましたが、920MHz帯は海外ではLPWA(Low Power Wide Area network)と呼ばれる省電力で遠距離通信が可能な通信方式です。いろいろな規格が各社から出ており老舗はSigfox(シグフォックス)やLora(ローラ)と呼ばれるサービスです。日本でもソニーが開発したELTRES(エルトレス)のサービスが提供されてます。それぞれ特徴がありLoRaは数キロ、Sigfoxは20km、ELTRESは100kmの通信距離があります。またインターネットへ接続するに時LoRaの基地局(ゲートウェイ)は自前になり、SigfoxとELTRESサービス提供側が用意してくれます。通信速度は低速で100bps~200bpsと非常に低速ですが例えば温度を10分間隔で送るとかであれば十分な速度になります。また、価格も数百円/月と携帯電話に比べて格安な点もあります。これに対抗して携帯会社も世界規格としてLTE-M(Long Term Evolution for machine-type-communication)を出して来ました。これは4GのLTE電波の空きを利用したものでこれもLPWAとはて定義されています。少し値段は高いのですが携帯電話がつながれば利用できる点が有利です。
※本内容は筆者が知りえる範囲で一般的に判り易く記述しているため細部を略しています。