テクノロジと文化は対極にありそうですが、第一次産業革命(industrial revolution)もテクノロジの進化であったように、1800年初頭には実用化された蒸気機関は動力の革新でした採掘坑の搬出から綿織物、製鉄業の規模の拡大と工業化一気に進んだ理由も、人に頼っていた労働力から機械を使ったほうがより強力で休みなく働き続けるからです。そして交通機関にも広がり蒸気船、蒸気機関車、人の生活に多大な影響を与えています。そしてそれは人々の生活になくてはならないものになった時に文化になります。そして第四次産業革命(Fourth Industrial Revolution)に向かっています。?向かっていてまだなっていないのです。
言葉としては2016年にスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムでテーマとなったのが最初です。この中で「AI、ロボティクス、IoT、自動運転車、3Dプリント、ナノテクノロジ、バイオテクノロジ、材料科学、エネルギ貯蔵、量子コンピューティングなどの分野における新たなテクノロジのブレークスルによって人々の可能性が倍増する」と述べています。テクノロジは見えなくなった時に役立つようになると言われるように、気が付かないうちに身の回りに浸透していきます。AIは金融部門ではいろいろ導入されています。例えばクレジットカードの利用記録に異常がないか見張っています。いつもと違うものを購入するとクレジット会社から電話が掛かってきます。これもAIが警告を発しているからです。ロボテックスは産業ロボット分野でiPhoneの制作などで活躍していましたがさらに身近に介護補助のロボットなどヒューマノイド型以外では浸透しつつあります。IoTは電力やガスの検針などでは実用化されていますし、バイオテクノロジでコロナウィルス対応のワクチンが早期に開発されました、材料科学は幅広く青色発光やリチュウム電池など身近に利用されていますが電池の効率化はさらに進みエネルギ蓄積にも影響を与えそうです。自動運転もそこそこできます。この中で量子コンピュータが身近になるまでにはもう一段のブレークスルが必要そうです。以前取引先の担当者からBRT(Bus Rapid Transit)の自動運転制御に量子コンピュータを持って来いと言われたことがありますが意味が分かっていたのか、単なる嫌がらせなのかは分かりませんが、現在の技術でもバスに乗せて運行するのはまだ夢でしかありません。
量子コンピュータの名の通り記録媒体が量子でこれを量子ビットと呼びます。1つの量子ビットに0と1の状態があります、ここまでは今利用しているPCと同じですが、ここから量子ビットの特徴として部分的に0と1が存在する特徴があります。?すでに意味不明です。
昔存在したアナログコンピュータに思えてきます。アナログであれば0.2は0.5を基準にすれば0ですが、3を掛けると0.6となり1になります。デジタルの0は何回かけても0のままです。0でありながら1になる性質を持っているからアナログコンピュータと似ています。これは少し飛躍した説明ですが、さらに量子コンピュータは似て非なるもので決定的な違いは「量子のもつれ」ですが、これは私には説明ができません。ただ、量子コンピュータには特定の分野、特にユニタリ行列の計算が高速に行えて、量子コンピュータに最適なアルゴリズムが適用できる場合に力を発揮します。単純な計算は現在のコンピュータの方が得意で競争しても量子コンピュータも勝てませんから両方が共存する事なります。量子コンピュータは絶対零度近くに冷やした原子の量子ビットでの動作であることを忘れてはなりません。常温では扱えない技術で温度を上げるには何百万気圧にすれば0度近くまで持って行けるそうですが、我々の机の上で動作するには当面厳しそうです。
もっと身近な話題になるとリモートがコロナ以降急速に浸透してきました。リモート勤務で働く、リモート営業、リモート会議ですが技術的には以前から存在してきました。1994年頃にインターネットビデオ会議ソアとウェアであるCU-SeeMeが登場していますが一般には普及しませんでしたが、ITU-T勧告の音声/映像通信規格「H.323」ができるとテレビ会議専用のハードが登場するなどして一部の企業で導入されるようになります。しかしハードや回線速度など家庭で利用できる価格でもありませんでした。しばらくして光回線の普及と高速モバイル通信環境ができ、ビデオオンデマンド(Video On Demand)を用いたサービスが活発化します。2010年頃になるとHulu、Netflixなどが台頭します。これを見るためには高速回線が必要になります。コンテンツの充実とともに高速回線も広がっていきました。並行して2007年頃には日本語に対応したYouTubeもリリースされ動画がインターネットの世界で一般化していきます。
これによりリモートの下地ができてはいましたが誰もリモート勤務はしていませんでした。一部の企業では未来の働き方みたいなでも程度でしたが、コロナ禍が発生し密はダメだ、かかった人は勿論、濃厚接触者も何週間も出勤できないとなれば企業としては緊急事態。BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)の策定と早期実施が求められました。その結果リモート勤務が一斉に導入されたのとテレビ会議のソフトが安価、もしくは無料で利用できたことが普及に拍車を掛けました。主導したのはZoomでした。2013年にリリースされ2019年のコロナ禍で一気に増えました。マイクロソフト社のSkypeもありましたがWindowsのイメージや有料でダイヤル回線に接続できるイメージがあり最初はZoomに先を越された感がありましたが、Teamsの普及とともに利用が進んでいるようです。このようなインターネットで電話ができるようになり今では通話をほとんど使わない人が増えてきました。現状は各アプリケーションのユーザにならないといけませんが将来電話番号に代わる呼出の共通化がされるとアプリケーションを意識せずに通話、テレビ会議ができて便利になると思います。
リモート勤務も昔から言われており10年か20年は掛かる、いや普及自体が難しいと言われていましたが、自然災害、環境の変化、技術革新で急に普及することになりました。普及して人の生活に入り込み定着すればそれは文化として受け入れられます。変化を好まない人もいるでしょうし、受け入れられないと思っている人もいます。しかし、文化となれば後戻りする事はありません。拒否して昔に戻りたいと思っても戻る事はなく衰退する事になります。経営者は10年後の予測は無理だが5年後を予測する事必要だとは言われていますが、予測ができなくても変化を取り入れて発展していくことに躊躇する必要はありません、変化して成長あるのみです。
ザックリですが産業革命となる出来事
1800年頃蒸気機関による機械化
1870年頃電力をなど重化学工業の成長、電話、電球の発明
1908年頃T型フォード車登場、高品質低価格ベルトコンベアで大量生産
1950年頃トランジスタの実用化 電子機器の小型化やコンピュータのハードウェアの革命
1980年頃デジタル革命、コンピュータ、インターネットはソフトウェアの革命
2019年頃コロナ禍による働き方改革