IoT(アイオーティー)にどんなイメージをお持ちでしょうか?
文字通りIoTは”Internet of Things”の略でモノのインターネットと言われていますが、具体的にはモノの情報がインターネット経由でクラウドサーバに送られることを意味します。
ここでのものは一般的に遠隔地で無人を想定して、クラウドと呼ばれる集中管理の中央コンピュータに情報が蓄積されて解析、レポートが表示されるようになるものです。蓄積されたデータは大量にあるのでこれをビッグデータと呼んで、解析するのには人手では難しいので人工知能、一般にAI(Artificial Intelligence: アーティフィシャル・インテリジェンス)を使って特長抽出等でしてレポートにして、今まで気づかなかったような仕事の仕方を変えるのがDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)です。
例えば、コピー機はどの事務所にありますが、保守契約をすると毎月作業員が点検に来てもらいますが、大事な会議の前に調子が悪くなってメンテナンス会社に電話して緊急対応してもらっています。点検時にはだいたい問題が無くこんな時に限って問題が発生します。どの仕事でもやった方がいいなと思っていたけど先延ばしにしていた事は大体やることになります。大体あったら嫌な事、心配していた事は現実に起こるのでIT業界では昔からマーフィーの法則とも呼ばれています。このマーフィーの法則のような事象はIoTを上手く使う事で防ぐことが可能なのです。
コピー機にIoTを搭載するとまず「oT」でモノは何をセンシングするかですが、コピー回数、ジャムった回数、メンテナンス用のセンサーの状態、「I」の通信でインターネット経由でも携帯網経由でも構いません、とにかく通信してクラウドに通知します。別に正常・異常区別なく定期的にデータを送り続けます。クラウドでは送られたデータを蓄積します。異常が発生したとの通知があれば原因を確認して保守員に連絡します。保守員は原因によって管変えられる対処を準備します。交換部品が必要だとか調整だけとか現地に行く前に準備をしてお客さんに言われる前に準備する事が出来ます。これだけでも仕事の仕方が少し変わりましたがもう一歩進んで、正常データも大量にあるのでこれを解析します。機械はいきなり壊れることもありますが大体前兆があるものです。正常データの中で前兆となるデータをとらえてワーニングを検出する事が出来れば、故障する前に定期メンテで対処できれば仕事に影響を与えることがありません。故障は短時間ではありますが、大げさに言えば業務が停止した事にもなります。今言われている事業継続(BC:Business Continuity)が損なわれています、コピー機がビジネスに影響を与えるような業務であれば重要な問題です。街のコーヒーショップのエスプレッソマシンが壊れたら売り上げが無くなり、期待して来店したお客さんを失望させてしまい企業イメージも損ないます。ノートPCで仕事をしていてデータはすべてこの中で仕事をしていたとしてそのPCが故障してデータが取り出せなくなったら、その企業にとって重大事件です。なにも事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)は地震や火災など大規模な事ばかりではありません。このように準備や対応しておくことで心配していた事を少しでも防ぐことができるのです。
話が脱線しましたがIoTによる業務革新とはこのような「絵」が描けるかによって現場から経営にもかかわってきます。どのような企業もいきなり業務改革とはいきませんが始めなければ何も変わりません。これもコンピュータが超小型化して省電力となり通信環境も整いどこでも情報がやり取りできる今、アイデア次第だという事になります。この考え方は日本のTRONプロジェクト(1984年に策定)ですでに提唱されており、後のユビキタスコンピューティング(ubiquitous computing:1991年ゼロックス・パロアルト研究所)そして今のIoT(1999年P&G)と繋がっています。IT業界は昔の言葉を巧みに新しい言葉に置き換えていますが、本質的には変わらない、ただ夢が現実になっているという事は素晴らしい事です。
これからは設計担当した案件を混ぜながらご紹介していきます。